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『12人の怒れる男』感想

おんっっっっっっっもしろかった!!!!!!!

舞台を観た直後はしばらく「すごかった」とか「狂ってた」とか「美しかった」とかそういう簡潔な言葉で頭の中を埋め尽くされるのですが、ナイコンさんの『12人の怒れる男』は「面白かった」が口からついて出てきます…!



以下ネタバレありですのでこれから観劇予定の方はお気をつけください!


















何が面白かったのか自分の中で噛み砕くと、
2時間板の上に立ち続ける12人の陪審員たちの激しい会話と感情の応酬とか、事件の証拠や証言について紐解いていく謎解き要素とか、十二人十二色の登場人物とか、そのそれぞれの気持ちの表現が観ている側にパチッとはまる時の気持ち良さとか、そういうのだったと思います。






会話と感情の応酬は本当に息を呑むような激しさでした。

一瞬これが脚本のある舞台であることを忘れ、本当に12人が存在してこういうやり取りをしていると思ってしまうくらい。


竹下さんは11号の真っ直ぐさがとってもぴったりで、自由と豊かさを忘れてしまっている、最早気付いてすらいない私の中の7号に喝を入れてくれた。

7号と11号のぶつかり合いはぱっちのオタクな私としては昂るものがありましたね~!!!!!ストーリー上でもとてもいい場面でしたし。
真剣に、正義を求める。彼にとってあの議論の場はもどかしさで淀んだ空間だったのでしょうね。でも自分の信念を伝えることで相手に響いた何かがあるって感じられたと信じているので、これからはちょっとでも上を向いて歩けるといいな。





7号のヘラヘラ感が井上さんの若いオーラに似合ってる~!と思ったのも束の間、口を開けば出てくる憎まれ口に減らず口、無礼なもの言い…。

個人的には割と本当に気分悪くなる感じでした。9号、11号に対する態度とか目を背けたくなったくらい。
でも日本人(って一括りはいけないけど)、みんな7号みたいな所あるよねって思いました。7号だけでなく他の人も、日本人の縮図?みたいな。

考えることの放棄であったり、本当は何を主張するべきか気付いている(かもしれない?)のに欲を優先したり、早く終わる方を選んだり、真の自由や豊かさを与えられていることに気付かなかったり…





そんな7号が11号に自分の考えを述べろと突きつけられて、無罪だと思うって口にした時に「一人の人間の人生が変わった…」って思いました。大袈裟だけど。

他の陪審員もそうだけど、この2時間自分の損得のためでない議題で感情ぶつけ合って、考え方や生き方や人生がみんな少なからず変わっていってるなぁって感じます。
他人を認めたり、自分の考えを持ったり、臆せず意見を言ったり。


自分の意見を変えるのって、大人になればなるほど難しいことですよね。プライドだってある。その人の生き方によっては、自分の考えを他者の意見によって変えるなんてありえないってタイプの人もいるだろうし…。


でもそれくらい大きなことを彼らはしていたんだなぁって。
バチバチし合ってた人達が最後部屋を出る時にちょっと目合わせて通じあってるところ、好きでした。他人だけど、もう知らない相手じゃない感じ。裁判がおわればもう会うこともないだろうけど、でもきっとふとした瞬間にあの蒸し暑い夏の日を思い返す。
人生変わった瞬間、と上に書きましたが実際そう簡単に人の考え方や生き方は変わらないかもしれない。でも彼らはもう偏見や感情でぶつかることの愚かさを知っている側の人間になったんですね。




7号が落とした扇子を11号が拾ってあげたところあれは元々の演出なのかアドリブなのか分からないんですけど、その瞬間の2人の空気感が昨日の敵は今日の…なんだろう…?みたいなそんな雰囲気でよかったんですよ~!(伝わって)



そして~~!!!!!
吉本さんの5号の第一声が本当~~~っっっによくて、最高によくて、泣いてしまいました私は。よいと言ってもハッピーな内容ではないんだけど。

表面張力で溢れる一歩手前みたいな、ちょっと押したら何かがこぼれ出してしまいそうな、張り詰めた空気を感じました。
吉本さんの繊細さが出てるんだろうなぁ~って全然詳しく知らないのに勝手な感想を抱く…。想像はだめって、事実からわかることを述べろってあれほど言われたでしょ!(?)

飛び出しナイフの扱い方を話す時とか、本当にスラムで毎日のようにナイフの喧嘩を観てきた青年がそこにいて、自分の過去に対する諦めや、やるせなさのような投げやりな雰囲気があったような気がします。
「今の姿には似合わない」の言葉で深々と頭を下げる姿に胸が詰まりました。これがきっかけで過去から自由になれるといいね。





あとは途中からエアコンが動いて涼しくなってからみんな冷静になっていくところに、暑さって人の冷静さを失わせるよね~って思ったのと、みんな上着脱ぐと有罪→無罪に考え方が変わるのが見た目でわかりやすい変化で面白かった。

8号だけ最後までジャケット着ていたのは彼が意見変わらなかったから?最後ロイヤル傍聴席に向かっていた時の表情が気になります…!み、みたい…!!!!って暴れだしそうでしたあの瞬間。

『無罪』の言い方も「有罪とは言えない」「有罪とは考えられない」みたいな表現だったのがなるほどなぁって。妥当だなぁって(言葉違うような気もしますが…)その中でも9号だけが「無罪だ」って言い切るのが興味深ったですね。







私はあの場にいたらちゃんと主張できるのかな。できる自分とできない自分、両方いるな。って考えるとあの12人、全員ではないけれど私の中に何人かいるなって思いました。他人の意見を様子見しちゃう私とか、面倒だからさっさと終わらせたい私とか、年上に上手く言えない私とか…。
怒っていることをきちんとした形で主張できる人間になりたいですね。というまとめでした。






とにかく!!!
面白くて、暑くて熱くてリピチケキメてしまいましたよ!予想してたけど!

話関係ない所だと、12号の佐藤さんがちょいちょい登野城さんとか井上さんに「かわいい」って言ってて「わかりまーーーーーーーーす!!!」って心の中で拍手喝采でした。全人類の弟みたいなお顔立ちされてますものね…。





本当に予想以上に面白く、終演して2時間経つのに未だ興奮冷めやらぬ状況です。次回観劇日が待ち遠しいです!